2024/08/28

「祈り」の時間

空想の宙「静寂を叩く」

今回展覧会を開催するにあたってまずメインテーマを考えました。

私は亀居山大乗寺客殿へ行くと真っ先にすることがあります。「孔雀の間」へ行き、円山応挙が描いた孔雀襖の前に座り合掌します。
撮影が出来る感謝と、その日一日撮影が無事に終わりますようにと祈念します。

大乗寺客殿は孔雀が描かれた襖の背後、次ノ間は「仏間」になっています。「仏間」の中央には慈覚大師円仁作と伝えられる「十一面観音像」が安置されています。私は孔雀の絵を見つめて目を瞑り、心の中で十一面観音を思い浮かべます。
初めは全身、頭の上の化仏、お顔と順々に想像します。
この思い浮かべる、イメージする、念ずる、言ってみれば祈ると言いますか、その時の私の心の中の「祈り」そのものを作品として伝えることは出来ないか、と考えました。
プロジェクションマッピングのような映像を使うのではなく、写真で、「祈り」そのものを共有する方法を考えたかった。
現実に存在する物質感、そして時間が伴う作品にしたかったのです。

会場へ行き、応挙が描いた孔雀の絵を静かな気持ちでご覧いただきたい。梵鐘の音が聞こえましたら、一人だけの「祈り」の時間が現れます。

梵鐘の音が「静寂を叩く」でございます。


2024/08/09

「展覧会案内状」が出来ました

Silence Disrupted - Where Mind Meets Cosmos The Thirteen Rooms of Daijo-ji: Bishin Jumonji

「展覧会案内状」が出来ました。
多くの方にご覧いただきたいと思います。

ごあいさつ

2024年8月27日(火)から2024年10月20日(日)まで、銀座資生堂ギャラリーにて「空想の(そら)『静寂を叩く』大乗寺十三室|十文字美信」展を開催します。

大乗寺客殿は江戸時代の絵師円山応挙とその一門が、165面すべての障壁画を描いた俗称「応挙寺」として知られています。
本展では十文字が撮り下ろした写真を再構成し、大型インスタレーションで展開します。
十文字の独自の視点から生み出された映像を体験していただきたいと思います。ご来場をお待ちします。

銀座資生堂ギャラリー
〒104-0061
東京都中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル地下1階
Tel.03-3572-3901


2024/08/07

一瞬と空間

8/27日から始まる資生堂ギャラリーでの展覧会の準備に追われています。

その忙しい最中にたまたま手にした本『春はまた巡る 芸術と人生これからを語る』デイヴィッド・ホックニー&マーティン・ゲイフォード著を読んでいたら気になる箇所があった。
8章「空、空」夕暮れの美しさを述べてる文中のこんな記述です。

「夕暮れの写真はどれも似通っている.写真では一瞬しかとらえられないからだ。写真には動きがないから、空間もない。だが描かれた夕暮れにはそれがある」

が目に止まった。
ホックニーさんは写真を使った作品も多数あるので、写真に対する造詣も深いのでしょうが、上記の文章は少々ガッカリした。

写真は一瞬をとらえるからこそ動きもあるし、空間の広がりも感じる。風景の内にも見えない根源的な存在を感じ取ろうとした写真もあるのだ、と知って欲しい。


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