2024/07/26

十文字美信 ☓ 伊藤俊治 クロストーク 静寂を叩くー日本の美と場を巡って

8/27日~10/20日まで資生堂ギャラリーで開催される展覧会「空想の宙/静寂を叩く 大乗寺十三室 十文字美信」の準備に追われている毎日です。
 
楽しみな企画が決まりました。

9/7日(土)伊藤俊治さんとの対談です。

伊藤さん初期のご著書『ジオラマ論』『写真と絵画のアルケオロジー』から最近(2020年)に発行された『陶酔映像論』など、いつも興味深く拝読しています。
私は個人的には存知あげないので、どのような内容になるかわかりません。当日その時の流れで変わっていくと思いますが、なんにせよ当人である私が楽しみにしています。写真家になって53年間、今まで何を見ようとして来たのか、伊藤さんの力で浮かび上がってきたら最高です。
皆様ぜひご来場くださいませ。

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2024/07/16

「出現」と「時間」

応挙が描いた孔雀絵

今回開催する資生堂ギャラリーでの展覧会、メインテーマを「出現」に決めた。

(応挙が描いた孔雀絵は圧倒的です。凄い障壁画を前にして写真を撮る意味はあるのだろうか?圧倒的であるって、圧倒されたこの感覚を写真に定着出来ないだろうか?)

日本間における特徴の一つは、襖を開けると次の間に描かれている全く異なった世界が現れることだ。大乗寺の場合で言うと、源埼描くところの老梅の襖を引き開けた瞬間に芦雪が描いた猿が現れるのだ。当たり前と思うかもしれないが、今まで見えなかったものが眼前に出現するというのは、いつの場合も私にはショックだ。事前に何が現れるのか知っていればショックは小さいけど、知らなかったら尚更わくわくする。

一瞬で世界が変わるのも衝撃的だが、ゆっくりと少しずつ何かが変わっていくのも私にはたまらない快感だ。しかも、変わっていることに気づかなかったとしたら、まさに今生きているこの世の中的ではありませんか!そして、変化していることに偶然気がつき、気がついた自分を自覚した時は大袈裟でなく震えます。

いつの間にか心の中に浮かび上がってくる映像もこれと似ていて、これはこれで自分にとっての真実なのです。

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2024/07/09

円山応挙と弟子たち

近年は伊藤若冲、曽我蕭白など「奇想の画家」がもてはやされて、正確な写生の重要性を訴えた円山応挙はどちらかというと「つまらない」絵師のレッテルを貼られ勝ちだ。
極め付けは2005年に京都国立博物館で開催された曽我蕭白展のキャッチフレーズ「円山応挙が、なんぼのもんじゃ!」だろう。企画者の気持ちがストレートに表現されたコピーとも言えるけど。

応挙は1795年に没してるから、死後210年経ても尚、地元京都の国立博物館で「なんぼのもんじゃ!」と啖呵切られたのだから、当の応挙さんはどんな思いでいるのだろう、本望かもしれないね。

縁あって、俗に言われる「応挙寺」、兵庫県香住にある亀居山大乗寺の客殿十三室を撮影し、6月小学館より写真集『大乗寺十三室 十文字美信』を刊行した。
また、来たる8月27日より銀座資生堂ギャラリーで「空想の宙 静寂を叩く/大乗寺十三室 十文字美信」展を開催することになり、このようなことが重なってこの3年間はひたすら円山応挙とその一門の絵師たち13人が描いた障壁画と向きあってきた。

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