2024/03/28

別冊太陽「日本のグラフィックデザイン一五〇年」インタビュー

別冊太陽「日本のグラフィックデザイン一五〇年」

別冊太陽「日本のグラフィックデザイン一五〇年」十文字美信


別冊太陽「日本のグラフィックデザイン一五〇年」が発売され、インタビューコーナーで、わたしの仕事が取り上げられた。ライターは和田京子さん。短い時間の話からよくここまでまとめられたと感心した。
普段の写真を撮る作業から、グラフィックデザインまでは意識として距離があるけど、こうして雑誌の特集を組むにあたって私が呼ばれるのは、インパクトの強い記憶に残る広告写真を撮っていたからだろう。私が撮った当時の広告写真をみて、70年代、80年代という時代の環境が作品を生んだとよく言われるけれど、果たしてそうでもない。後世から振り返って結果的に時代が作り上げたと括られたわけで、携わっていた当人は時代を意識して撮影したわけではないのだ。当時もさまざまな試みで広告写真を撮っている人がいたわけだから。
つまらない広告を創ってしまう要因は、企業や商品を宣伝するという目的を重視するあまり、消費者といえども個人の集合体であることを忘れているからだ。その結果、繊細で複雑な個人の経験や知覚によって好みが決定され、場合によっては購買につながっていく事実も蔑ろにされてしまう。50年前当時、気づいていたとすれば、こんなことか。怯えていると感じるほど他者に気をつかって制作している広告が最近目につく。他者にどう思われるか、が意識の大部分を占めている現代人の特徴を反映しているからだろう。クリエイターが自由を失ってはインパクトある広告は生まれない。50年後にはまた違った風潮になっていると思うけど。


2024/03/25

やぐら

やぐら

地元鎌倉には「やぐら」と呼ばれる横穴式墳墓が多く残っている。現在は逗子市に属しているが名越の切通し奥にある「まんだら堂」のやぐらは中世の雰囲気をそのまま残して壮観です。それとは別の趣でひっそりとやぐらを守る寺院もある。アップした写真は私が好んで訪れるやぐら。自宅から20分ほど歩いた距離にある。


2024/02/15

忘れ難い撮影

ジャン・マリア・ボロンテさん

今まで何人の人々を撮影してきたかわかりませんが、強烈な印象で思い出されるのが、マカロニウエスタンの俳優としても有名なジャン・マリア・ボロンテさんです。

1984年、私はサントリーエクセレンスのロケーションでローマにいました。
グラスに注がれたウィスキーを飲む、たったそれだけの映像をいかに魅力的に撮れるか、にチャレンジしたのです。
現地入りした私たち撮影隊にボロンテさんから注文が入りました。
「内容説明は一人で来て欲しい」でした。
そこで、私と通訳が彼の自宅へ行くことになりました。
歴史ある建物の内部はシンプルに改造され、入り口と応接間の壁は数多くの現代アートが飾られていました。
しばらく待たされた後、眼光鋭いボロンテさんが現れました。

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