別冊太陽「日本のグラフィックデザイン一五〇年」インタビュー
別冊太陽「日本のグラフィックデザイン一五〇年」が発売され、インタビューコーナーで、わたしの仕事が取り上げられた。ライターは和田京子さん。短い時間の話からよくここまでまとめられたと感心した。
普段の写真を撮る作業から、グラフィックデザインまでは意識として距離があるけど、こうして雑誌の特集を組むにあたって私が呼ばれるのは、インパクトの強い記憶に残る広告写真を撮っていたからだろう。私が撮った当時の広告写真をみて、70年代、80年代という時代の環境が作品を生んだとよく言われるけれど、果たしてそうでもない。後世から振り返って結果的に時代が作り上げたと括られたわけで、携わっていた当人は時代を意識して撮影したわけではないのだ。当時もさまざまな試みで広告写真を撮っている人がいたわけだから。
つまらない広告を創ってしまう要因は、企業や商品を宣伝するという目的を重視するあまり、消費者といえども個人の集合体であることを忘れているからだ。その結果、繊細で複雑な個人の経験や知覚によって好みが決定され、場合によっては購買につながっていく事実も蔑ろにされてしまう。50年前当時、気づいていたとすれば、こんなことか。怯えていると感じるほど他者に気をつかって制作している広告が最近目につく。他者にどう思われるか、が意識の大部分を占めている現代人の特徴を反映しているからだろう。クリエイターが自由を失ってはインパクトある広告は生まれない。50年後にはまた違った風潮になっていると思うけど。
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