2024/09/23

応挙寺の生きものたち

客殿十三室に描かれている生きもの

初めて「大乗寺」を訪れた時に感じたことがありました。

「大乗寺」は俗に「応挙寺」と呼ばれるように、何と言っても円山応挙が描いた障壁画で有名です。ところが「大乗寺」客殿十三室を巡って体感したのは、応挙とその一門の弟子十三人の共同制作で作られた空間だということでした。しかも、師匠と弟子の言葉から江戸時代職人の修行の厳しい上下関係を想像しがちだが、大乗寺客殿からは少し異なった雰囲気を感じ取りました。師匠と弟子でありながら、それぞれの作家としての個性を尊重する関係、すなわち理想的な西洋のサロンのような空気を感じたのです。客殿障壁画のどの部分を見ても、担当した絵師の生き生きした喜びを感じるのです。

客殿十三室に描かれているのは、人間よりも圧倒的に「生き物」の方が多い。応挙自らが描いた孔雀を初めとして、猿、鴛鴦、鴨、蝶、蛾、山雀、燕、牛、亀、犬、鯉、鮎、馬、鶴など、鳳凰まで数えると、18種類207個体描かれている。この生き生きと描かれた生き物をクローズアップすることで、今回の展示のテーマの一つである共同制作の喜びを伝えたいと思った。

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2024/09/18

円山応挙の日記

空想の宙 静寂を叩く

現在銀座資生堂ギャラリーで開催している「空想の宙/静寂を叩く」展に、多くの方が来場されています。感謝の気持ちでいっぱいです。

令和3年ですから、今から3年前にある古美術市で円山応挙の日記が発見されました。新聞紙上でも記事になりましたから、ご存知の方も多くいらっしゃると思います。
日記に記述された日付は、天明8年(1788)から寛政2年(1790)までの約3年間です。この天明8年は応挙にとってのみならず、日本美術史にとっても重要な年と言えると思います。
年の初め、俗に言われる「天明の大火」があり、京都市街が燃えてしまったのです。応挙の自宅も失い、この時画室にあったであろう大乗寺のために描いた「松に孔雀図」も燃えてしまいました。

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2024/09/02

空想の(そら) 「静寂を叩く」 ギャラリーツアー

空想の宙 静寂を叩く

資生堂ギャラリーで開催されている「空想の宙 静寂を叩く」展覧会のギャラリーツアーをやります。
9/14(土)14:00〜
9/21(土)14:00〜
両日ともに私(十文字)は在廊の予定。上記の時間に合わなくても、この日は私ギャラリーにいますので質問あれば話しかけてください。
大乗寺客殿にある円山応挙とその一門の障壁画を撮りました。西洋の動かない壁画と違う日本の襖絵の変幻自在な魅力を感じていただきたいと思います。


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