2013/12/20

多摩美術大学十文字美信・最終講義(4)

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12/18日、大学での最終講義がついに終わりました。
2004年に着任したので、来年の3月いっぱいで丸10年です。

授業を通じて何を学生たちに伝えようようとしたのか、書き留めておかないと忘れてしまうと思い、ブログに書き始めたのですが、完成しないうちに最終日が来てしまいました。

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2013/12/02

多摩美術大学・十文字美信最終講義(3)

写真を学ぶに際し、初めに興味を持って欲しいことは「光」です。
撮影するためには、「光」に対する興味は必須条件です。

僕が最初に学生に向かって提案した課題は、突拍子もないものです。
彼らが写真に対して抱いている常識的な感想を打ち破りたい、思いがありました。
「常識的な感想」とは何か、というと、「写真はシャッターさえ押せば写る」という思いです。あるいは、「目の前に存在してるものしか写らないから面白くない」という感想です
確かに写真は見えるものしか写らないのですが、だからこそ面白いのです。

実在し、見えるものと関わりながら、見えないもの(ここではイメージという言葉に集約してみます)の分野に踏み込んで行く楽しさを体験してもらいたいのです。

特に現在の写真世界を覆う状況は、写真が発明されて170年以上過ぎた今が、写真芸術の歴史上大きな分岐点です。現在、写真は生きるか死ぬかの瀬戸際です。もしかしたら、もうすでに写真は死滅してるとも言える。写真で表現してきた従来のリアリティは生き残る場を失った実感があります。
原因はデジタルの出現です。
フィルムという媒体を通した写真とデジタルの決定的な違いは、デジタルは陰画(ネガ)の喪失と撮影からプリントまでに要した時間のズレを失ったことです。

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2013/12/01

多摩美術大学・十文字美信最終講義(2)

「豆腐、卵、角砂糖を使って、パッション(情熱)を写真で表現しなさい」

今年の僕の授業を履修した3年生に提出した最初の課題です。
副題として、(光の効果を駆使すること)です。

「情熱」の解釈に対する質問は一切受け付けません。
自分が考える、あるいは経験した「情熱」で構わない。

提案した3種のモチーフにどう関わっていくか、個人差があって大変興味深い。
整然と並べる者、グチャグチャに混ぜ合わせ

る者、卵を割る者、投げつける者、卵焼きにする者もいる。具体的な生活周辺のありふれたモノを使って、感情を表現するのは難しいがやってみると面白い。
たった3ヶ月のライティング経験とは思えないほど、見事な作品に仕上げる者もいる。
この場で見せられないのが惜しいくらいの出来の写真もあります。
これから1年間かけて身につけて欲しいものは、撮影する以前にまずイメージすることの大切さです。
光と影、奥行き、色彩を心の中で具体的に描くことが出来れば、現実にやってみることとのギャップも生きてきます。
自分で光を操る面白さを体験してもらいたいのです。

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