多摩美術大学十文字美信・最終講義(4)

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12/18日、大学での最終講義がついに終わりました。
2004年に着任したので、来年の3月いっぱいで丸10年です。

授業を通じて何を学生たちに伝えようようとしたのか、書き留めておかないと忘れてしまうと思い、ブログに書き始めたのですが、完成しないうちに最終日が来てしまいました。


通常の講義に加えて、普段はあまり話さない写真に向き合う自分の考えも加えてみたのですが、学生に届いたかどうかわかりません。

「写真を始めた動機」「最初の作品・首なし・誕生」「ニューヨーク近代美術館でのエピソード」「カラヴァッジョと光学機器」「もし名画が絵でなく写真だったら」「1839年写真画像定着に成功」「ヴァルター・ベンヤミンの言説・複製とアウラ」「ヨーロッパのリアリズムと日本のリアリズムの違い」「観想」「山越阿弥陀図」、そして最後に最近の作品「仁王」を数点見せた。

連日の忙しさに追われて納得いく準備は出来なかったが、興味を持っていることをそのまま話せば何とかなる。
3時間という限られた時間で話す内容にしては盛り沢山だったけど、とにかく学生に写真の面白さを伝えたかった。

最後の方は時間切れ寸前で、少々話を急いでしまったが、なんとかゴールまで辿り着いた。
講義が終わってからちょっと感動的なことがありました。


突然、教室内の照明が消え、学生たちが着ていた服を脱ぎ始めたのです。
「君たち、何してんだ?」
講義に気を奪われていたので、何事が起こってるのか理解出来なかった。
そのうち教室が明るくなると、全員が笑顔で「先生ありがとうございました!」の大合唱。
見ると、前面に僕の顔が大きくプリントされたTシャツを着ているではないか。
全員ですよ、全員。

「お前たち・・・」

ちょっと胸にジンときました。
そして、「長いことお疲れ様でした」と拍手が巻き起こり、花束を渡されたのです。
さらに、廊下で3年生の講義が終了するのを待っていたのでしょう、4年生が入ってきて「せんせ~い!!」と、またまた花束を渡されました。

感激でちょっとウルウルきそうでした。

年末の課題提出や就活の大変な時期に、僕の顔をシルクスクリーンでTシャツに刷ってくれていたのですね。
本当に今の学生は、僕の学生は可愛い奴らです。

大学の授業はこれで終わったけれど、彼らと別れたくないなあ、と感無量でした。
卒業して、全員が健康で幸せな人生を歩んでほしい。

心底思いました。
 

 

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