窓の外
パリ北駅からユーロスターでロンドンへ行く。
この列車には、かねがね乗ってみたいと思っていたので、さまざまに興味深い。
パリ出国通関時に、滞在期間、渡英の目的などを事細かに訊かれる。
通関手続きが終わり、列車に乗り込んで右の車窓を見ると、金網越しに黒人の家族が集まっていた。駅のホームを挟んで見えた光景に不意を突かれた。被写体までの距離と白い金網が、僕と彼らを隔てている。なぜこの光景が気になったのかわからない。わかる以前にシャッターを切っている。
僕は写真を撮るたびに思うことがあります。モノを明確に見ることに、心が離れていくのがわかるのです。明確にすることは、はっきりさせることです。モノの行く末を限定すること、場合によっては変化を否定して、そのままジッとしていなさいということになりかねません。モノには、僕が介在する以前から変化の可能性を孕んでいます。
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