「祈り」の時間
今回展覧会を開催するにあたってまずメインテーマを考えました。
私は亀居山大乗寺客殿へ行くと真っ先にすることがあります。「孔雀の間」へ行き、円山応挙が描いた孔雀襖の前に座り合掌します。
撮影が出来る感謝と、その日一日撮影が無事に終わりますようにと祈念します。
大乗寺客殿は孔雀が描かれた襖の背後、次ノ間は「仏間」になっています。「仏間」の中央には慈覚大師円仁作と伝えられる「十一面観音像」が安置されています。私は孔雀の絵を見つめて目を瞑り、心の中で十一面観音を思い浮かべます。
初めは全身、頭の上の化仏、お顔と順々に想像します。
この思い浮かべる、イメージする、念ずる、言ってみれば祈ると言いますか、その時の私の心の中の「祈り」そのものを作品として伝えることは出来ないか、と考えました。
プロジェクションマッピングのような映像を使うのではなく、写真で、「祈り」そのものを共有する方法を考えたかった。
現実に存在する物質感、そして時間が伴う作品にしたかったのです。
会場へ行き、応挙が描いた孔雀の絵を静かな気持ちでご覧いただきたい。梵鐘の音が聞こえましたら、一人だけの「祈り」の時間が現れます。
梵鐘の音が「静寂を叩く」でございます。
「展覧会案内状」が出来ました
「展覧会案内状」が出来ました。
多くの方にご覧いただきたいと思います。
ごあいさつ
大乗寺客殿は江戸時代の絵師円山応挙とその一門が、165面すべての障壁画を描いた俗称「応挙寺」として知られています。
本展では十文字が撮り下ろした写真を再構成し、大型インスタレーションで展開します。
十文字の独自の視点から生み出された映像を体験していただきたいと思います。ご来場をお待ちします。
銀座資生堂ギャラリー
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