写真と珈琲のバラード(12)
連日、暗室に籠ってプリントをしています。
次回刊行予定の写真集『常ならむ』に掲載する作品に取り組み、先月、6章で構成する作品の内の1章「残闕」(ざんけつ)のカラープリントが終わりました。写真家といっても、デジタルしか経験ない人は、フィルムで撮影して紙焼きをする、なんて知識だけでそのうちに「やったことない」人も出てくるのだろうね。
以前は(私が写真をやり始めた4~50年前ですが)、温度管理など環境の整備や現像の手順が複雑だったので、自分でカラープリントをする、という発想は持てませんでしたが、今は混合された現像液も手に入るようになり、その気にさえなればカラープリントが自分の暗室で出来るのです。
暗室作業は撮影と等しいくらい、あるいは場合によっては暗室作業の方がさらに神経を使います。基本的には露光時間と焼き付ける光の強さの相関関係で画像を決定していきますが、モノクロプリントとカラープリントの大きな違いの一つは、カラーの場合は全暗で作業を行わなければならないことです。モノクロなら赤色のセーフティーランプを点けることが出来ますが、カラーの場合は真っ暗で全ての作業をしなければなりません。手探りで行うわけです。
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