一眼レフカメラの動画機能
6/5日、15:30分、表参道ヒルズ地下3階のショートショートフィルムフェスティバル特設会場で、「さくら」の映像上映。
僕はひと足先に、その日の10:15分に会場へ行き、映像がどの程度のクォリティーで映写されるかをチェックした。
「さくら」は、一眼レフカメラ、キヤノン EOS 5D Mark Ⅱの動画機能を使って作った作品。多分、今までスチールカメラだけで動画作品を作った前例はあまりないだろう。それだけに質の高い映像にしたかった。撮影データだけ考えれば大画面にも充分耐えられる。しかし、フェスティバルの上映条件は「デジベ」つまりデジタルベータカムでした。HDのデータで撮影しても映写する時にNTSCの「デジベ」のデータに落として映写されたのでは何にもならない。せっかく高精細の画像が宝の持ち腐れです。フェスティバル実行委員会の都合もあるでしょうが、ここはキヤノンに頑張ってもらって、せめて高精細そのままのブルーレイ方式で上映しましょう、というのが僕の提案でした。このせめぎあいが、ここ数日間続いていたのです。今までブルーレイ映像では経験がないから無理だ、という実行委員会を説得してテストまでこぎつけた。
いやあ、実にきれいな画像でした。
朝一番で観た時は、我ながら感動しました。
吉野の谷底に落ちていく桜の花びらの一枚一枚が、僕の胸底に音もなく降り積もって、撮影時の胸騒ぎを再び感じていました。
もしも、一眼レフカメラを使いスチールのクオリティーで動画が撮れたら、今までの写真作品の質が変わります。
質が変わるどころか、写真映像が革命的に変化する予感があります。現代ではすっかり古くさいと思われている写真の「決定的瞬間」が、かたちを変えて息を吹き返すでしょう。決定的瞬間はドラマチックではなく、実はどこにでもあり、無数にあるのです。その分、厳密に判断されなければなりません。写真における瞬間の概念も見直されるでしょう。あるいは「しぐさ」や「型」が時代に密着した表現として再発見されると思います。面白いものが素直に面白いと言える時代が蘇る可能性を含んでいます。
だから、今回はどうしてもきれいな画像にしたかったのです。
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