2012/10/12

二人展の作品(4)

「時間や空間を切り捨てながら自分の感じた世界を表現するのは嫌だな」と思ったのが、僕の写真の始まりでした。

優れた写真と評価されているものは、僕の思いと逆で、余分だと思う空間は、なるべく明確に切り捨てて、決定的と思われる瞬間にシャッターを切る。写真家の個性が強烈に発揮されているものが良い、とされていました。土門拳さんの写真は、誰が何と言おうと土門さんの世界です。本人の言葉で言わせると「鬼が撮った」というような意味のことをおっしゃっていたと記憶しています。確かに作家の思想や好みや、強烈な個性は作品から感じ取れます。土門ファンとしては、文句ありません。僕も土門さんの生き方が好きです。

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2012/10/11

二人展の作品(3)

今回の作品展に出品する写真のプリントがやっと終わりました。
昨日、フレームマンさんに額装をお願いして準備終了。何とか間に合いました。

写真のプリントは、その1点のネガから焼く回数を重ねれば重ねるほど気に入った調子に近づきます。いつもこう考えてしまいます。
「次に焼く写真の方がうまくいく」
プリントは打ち切るタイミングが難しい。

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2012/10/06

二人展の作品(2)

今回の作品展に出品する「神殿」は、枯れかけている花を撮ったものです。

盛りを過ぎた花は、環境に合わせて徐々に姿を変えていきます。鮮やかだった色彩は少しずつ退色して、終いには冷え枯れた色だけになり、さらに時間が経つと落ちてしまいます。花によっては退色せずに、いつまでも鮮やかな色彩を保ち続けているものもありますが、それも若々しい盛りの色とは違います。退色していく過程のどの段階も美しいと思います。過程の一つ一つに色名前をつけたくなります。紫色の花も、時間の経過によって紫色が微妙に変わっていくその過程が美しい。
昔は自然の素材で衣服を染色したわけですから、退色していくことが当たり前で、退色したそれぞれの色を合わせて楽しんだのが十二単の始まりなのではないでしょうか。
いつまでも色が変わらない、なんていうのは、それこそ「野暮」なのでは、と思ってしまいます。

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