2024/09/18

円山応挙の日記

空想の宙 静寂を叩く

現在銀座資生堂ギャラリーで開催している「空想の宙/静寂を叩く」展に、多くの方が来場されています。感謝の気持ちでいっぱいです。

令和3年ですから、今から3年前にある古美術市で円山応挙の日記が発見されました。新聞紙上でも記事になりましたから、ご存知の方も多くいらっしゃると思います。
日記に記述された日付は、天明8年(1788)から寛政2年(1790)までの約3年間です。この天明8年は応挙にとってのみならず、日本美術史にとっても重要な年と言えると思います。
年の初め、俗に言われる「天明の大火」があり、京都市街が燃えてしまったのです。応挙の自宅も失い、この時画室にあったであろう大乗寺のために描いた「松に孔雀図」も燃えてしまいました。

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2024/09/02

空想の(そら) 「静寂を叩く」 ギャラリーツアー

空想の宙 静寂を叩く

資生堂ギャラリーで開催されている「空想の宙 静寂を叩く」展覧会のギャラリーツアーをやります。
9/14(土)14:00〜
9/21(土)14:00〜
両日ともに私(十文字)は在廊の予定。上記の時間に合わなくても、この日は私ギャラリーにいますので質問あれば話しかけてください。
大乗寺客殿にある円山応挙とその一門の障壁画を撮りました。西洋の動かない壁画と違う日本の襖絵の変幻自在な魅力を感じていただきたいと思います。


2024/08/28

「祈り」の時間

空想の宙「静寂を叩く」

今回展覧会を開催するにあたってまずメインテーマを考えました。

私は亀居山大乗寺客殿へ行くと真っ先にすることがあります。「孔雀の間」へ行き、円山応挙が描いた孔雀襖の前に座り合掌します。
撮影が出来る感謝と、その日一日撮影が無事に終わりますようにと祈念します。

大乗寺客殿は孔雀が描かれた襖の背後、次ノ間は「仏間」になっています。「仏間」の中央には慈覚大師円仁作と伝えられる「十一面観音像」が安置されています。私は孔雀の絵を見つめて目を瞑り、心の中で十一面観音を思い浮かべます。
初めは全身、頭の上の化仏、お顔と順々に想像します。
この思い浮かべる、イメージする、念ずる、言ってみれば祈ると言いますか、その時の私の心の中の「祈り」そのものを作品として伝えることは出来ないか、と考えました。
プロジェクションマッピングのような映像を使うのではなく、写真で、「祈り」そのものを共有する方法を考えたかった。
現実に存在する物質感、そして時間が伴う作品にしたかったのです。

会場へ行き、応挙が描いた孔雀の絵を静かな気持ちでご覧いただきたい。梵鐘の音が聞こえましたら、一人だけの「祈り」の時間が現れます。

梵鐘の音が「静寂を叩く」でございます。


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