写真と珈琲のバラード(47)


5年前に江戸美術コレクターの加納節雄さんから画像を送られてきたのが、「I WERE YOU」の始まりです。
安土桃山時代の狩野松栄から幕末の河鍋暁斎まで、日本を代表するさまざまな絵師の作品と私の写真を並べて一つの作品にする、というアイデアは、当初、途方もないことだと思っていました。かつて誰も考えたこともない驚天動地、奇想天外な思いつきだと思い、しばらく静観していたのです。
PCの画像上で50組くらいの作品が出来上がった時点で、そろそろモニターではなく本当の作品を組み合わせて見よう、ということになり、昨年の12月に私の「残闕」と曾我蕭白の「鷹兎図屏風」を同一に額装してみたのです。
組み合わせた作品をギャラリーの壁に展示して、初めて観た時の感動はなんとも言えない気持ちでした。戸惑いと迫力とがないまぜになり、そのうち、今まで見たこともない未来的な作品を目の当たりにしてる喜びに震える思いでした。隣の加納さんを見ると、全く私と同じ感動に浸っているのが伝わってきたのです。
顔を見合わせて「やったね!」と思わず握手していました。
TRYTRYの小島さんの繊細で大胆な閃きがなければ、この難しい額装は実現出来なかった。

現在は87点の組み合わせが完了しています。

海外も含めて、この稀有な作品を展示する会場を探すための企画書を作成中です。
まずは私のギャラリーに展示してある作品をご覧になっていただき、この新しい作品、未来的な物語が生まれるアイデアがいっぱい詰まった作品「I WERE YOU」を体験していただきたいのです。

また、元々表装されていなかった剥き出しの絵(作者不詳、前田利家凱旋図)と私の写真(さくら)を同一の台紙に裏打ちする試作も始めています。
(この絵を見た瞬間、本居宣長「敷島の大和心を人問わば朝日に匂ふ山桜花」の歌が浮かび、かつて撮影した桜の写真の中で最も気に入ってる作品を選びました)。

鎌倉で大正時代から四代続く表具師松岡錦屏堂さんがこの難解な仕事に勇気を奮って挑戦してくれました。完成が楽しみです。

今後、この試みがどのような展開になるのかわかりませんが、実物をご覧になった方々の感嘆の声が勇気となり、なるべく多くの方の目に触れる機会を実現するべく努力したいと思います。


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