続・タヌキ

たった今、庭の、とある場所にタヌキを埋葬しました。

保健所に連絡して処分してもらうことも考えたのですが、僕の誕生日に僕の目の前で行き倒れた、というのは、何かの縁ではないかしら、ゴミのように処分されるのではかわいそう、という意見を入れて、庭に穴を掘って埋めることにしました。
はじめは塀際のあまり見えない場所に、と思ってスコップを使って掘り出したのですが、上に花を植えたいと家内が申すので縁側からよく見えるツツジの脇に穴を掘りました。
我が家には野良猫がしょっちゅう出没します。彼らが興味を持って掘り返したりしないように、身体のサイズの割には結構深く掘りました。

まだあまり硬直化もせず、よく見ると可愛い顔です。
痩せ細っているくせに、猫に比べて案外重く感じられました。

土をかけながら、家内が言います。
「この2日間、庭で見知らぬウンチがしてあったのは、きっとこの子だわ」
掃除をした時に全く臭くなかった、と言います。
僕はその話を聞いて、ウンチにも見知らぬ奴とよく見かける奴がいるんだと知って、ちょっと驚きました。それと、掃除の時に臭いを嗅ぐのだろうか、と疑問に思ったのですが、深刻な顔をして土をかけてる家内の顔を見て、質問は控えました。


庭に咲いている花を手折って一緒に埋めてやりました。
隅に転がっていた手頃な石を抱いてきて、埋めた土の上に置きました。
「動物はいいね、こうして土に帰れるから。骨だけになって壺なんかに入れられて、コンクリートで固めた石の下にだけは入りたくない」
僕は黙ってウンウンと頷いていました。

タヌキが眠っているところにどんな花を植えようか。

きっとそのうちタヌキを埋めたことも忘れてしまうのだろうか?
その方が自然のことかもしれない、などと考えながらスコップを洗いました。

 


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