2021/02/05

老人ホームにて

蘭の舟

当初は移民の歴史に興味を持って始めた撮影でしたが、「歴史」と大きく括っては見えない一人一人の過去があると気付いてからは、なるべく具体的な事物を見るようにしました。
被写体になった多くの人は「呼び寄せ移民」でハワイに来られた人たちです。老人ホームで認知症として生活している人も、成功者として故郷の広島へ凱旋帰国することが夢でした。
「撮影するね」と言うと、「日本へ帰る時の格好するから待ってろ」と着替えてカメラの前に立った時の写真です。


2021/02/04

學校

日本人移民の歴史は明治元年に自由意志でハワイへ渡航した人々が始まりとされ「ガンネンモノ」と呼ばれています。後、明治18年から国家の政策としてハワイ移住が始まり(官約移民)、定住した人たちが家族を呼び寄せたのを「呼び寄せ移民」と呼称しています。多くの人が砂糖きびプランテーションの労働者として入植しました。史実はホノルルにあるビショップミュージアムに詳しい。
約45年前に私が『蘭の舟』を撮影した頃は、ビショップミュージアムにも日本人移民を調べる専門部署は無く、ポリネシア文化研究の第一人者篠遠喜彦博士を訪ねて必要性を話し合ったりしました。
撮影を重ねるうちに私自身が移民の歴史よりも、被写体である移民一人一人の生き方や存在そのものに写真の対象を移したために人物ポートレートが多くなったのです。


2021/02/04

強い光

作品集「蘭の舟」の場合、ハワイの強い光を作品に反映させるため、ハンディストロボを光源として人物撮影しました。しかし、生のストロボ光そのままではあまりにも強過ぎるので、当時、アタッチメントを工夫したFRPディフューザーを自作しました。言ってみれば光をプラスチックに透過させ、少しだけ拡散させたのです。
白いシャツに黒色のパンツをストロボ光で撮影してるのだから、暗室プリントは大変です。でも、どうしてもこんなふうに撮りたかったのです。


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