「神殿」(2)
「人は一人では生きていかれない」の台詞を耳にするたび花や葉を心に思う。花は群れていようが孤独に屹立していようが、そんなことどちらでもお構いなし風に身を任せて美しい。ましてや盛りを過ぎて枯れていく過程では周囲に逆らわず黙って朽ちていく。私が歳をとったから心惹かれるのではなく、すぐ目の前にあっても見ようとしない人には見えないのです。
「人は一人では生きていかれない」の台詞を耳にするたび花や葉を心に思う。花は群れていようが孤独に屹立していようが、そんなことどちらでもお構いなし風に身を任せて美しい。ましてや盛りを過ぎて枯れていく過程では周囲に逆らわず黙って朽ちていく。私が歳をとったから心惹かれるのではなく、すぐ目の前にあっても見ようとしない人には見えないのです。
2015年、妻の活けた花が枯れていく様態を撮影し、「神殿」と名付け一部を写真集『常ならむ』にまとめた。撮影に使用した機材は8×10インチのディアドルフでフィルムは富士フイルムのプロビアでした。
コロナの影響で最近はPCの前に座っている時間が多いため、この際未発表作も含め全作品のデータ化を思い立った。最後までたどり着くかわかりませんが。
1986年ネスカフェゴールドブレンドの撮影を始まりとして、28年間俳優高倉健さんを撮影しました。
私が撮影したのは全てTVCMとコマーシャル写真の仕事でした。
その間撮影した回数、カット数はどのくらいの量になるか現在ではもう正確にわかりません。
私は劇映画のキャメラを担当したことがありませんから、完成した映画を観ての比較感想ですが、映画とCMでは高倉さんの魅力は異なっているように思います。
元々高倉さんは映画の役を演じていても、どこかで役を逸脱した素の影が見えてきます。世間では無口や不器用と表現したりしていますが、そうではなくて、役になりきってしまうのを拒否する意思があったように思います。演じるだけでは物足りないと思っていたのではないでしょうか。
撮影の仕方によっては、CMの現場はその人の「人となり」が現れてしまいますから、高倉さんもそのあたりを楽しんでいたように思います。
顔を撮る、というのは、写真家にとっては最も重要な行為です。被写体の人間性全てが顔に集約されてしまうからです。
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