2021/08/20
高倉健さんの顔
1986年ネスカフェゴールドブレンドの撮影を始まりとして、28年間俳優高倉健さんを撮影しました。
私が撮影したのは全てTVCMとコマーシャル写真の仕事でした。
その間撮影した回数、カット数はどのくらいの量になるか現在ではもう正確にわかりません。
私は劇映画のキャメラを担当したことがありませんから、完成した映画を観ての比較感想ですが、映画とCMでは高倉さんの魅力は異なっているように思います。
元々高倉さんは映画の役を演じていても、どこかで役を逸脱した素の影が見えてきます。世間では無口や不器用と表現したりしていますが、そうではなくて、役になりきってしまうのを拒否する意思があったように思います。演じるだけでは物足りないと思っていたのではないでしょうか。
撮影の仕方によっては、CMの現場はその人の「人となり」が現れてしまいますから、高倉さんもそのあたりを楽しんでいたように思います。
顔を撮る、というのは、写真家にとっては最も重要な行為です。被写体の人間性全てが顔に集約されてしまうからです。
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