午前四時四十四分
八月二日に富山から戻り、三日は都内で打ち合わせ、四日からロケハンのために阿蘇へ行く。
熊本の雨は、あいかわらず凄い。雨が止む合間を縫って撮影場所を決めてきた。
このところ、ほとんど家にいる時間がとれず、九月五日に決まっている写真展のオープニングを考えると、お尻のあたりがムズムズする。
無理ないです。プリントどころか、まだ撮影すら終わってないのだから。
それにまた、多忙だというのに、さまざまなことを、いろいろ発見してしまうから余計に忙しくしてるのです。
わかっているけど僕の性分だから仕方ない。
富山から戻った日は、そのまま打ち合わせもあり、帰宅したのが、深夜の零時を過ぎていました。車を停めて、さあ、家に入ろうと玄関の戸に手をかけようとしたその時、柱の中ほどに奇妙なものがくっついているのに気がついたのです。近づいてよく見たら、蝉が羽化の真っ最中だった。しばらく眺めているうちに、あることを思い出した。それは「ひぐらし」のことです。
以前、極楽寺に住んでいた頃、家の裏が山だったので、夏になると蝉しぐれに圧倒されんばかりでした。中でも「ひぐらし」の声がたまらんのです。「ひぐらし」が「カナカナカナ」と独特な音を発するのは夕方だけだとばかり思っていたら、明け方にも鳴くことを知ったのです。その明け方の「ひぐらし」の声が、まことに美しいのです。
Recent Comments