鎌倉時代の仁王像
仁王像が僕のギャラリーに来た。
阿像、吽像の2体一対。
像高2m40cm、制作は推定1200年代、バリバリの鎌倉時代作です。
檜の一木割り剥ぎ造り(いちぼくわりはぎづくり)。
仏像を見るといつも思う。
「寄せ木」(よせぎ)と「一木」(いちぼく)では彫刻としての力が全然ちがう。
合板の箱物で作る家とムクの木で作る家との違いに似てる。
鎌倉時代は日本の歴史上、特別な時代と言ってもいい。
それ以前の文化を作ってきたのは、天皇、貴族を代表とする、いわゆる知識階級が担っていた。
関東地方に一所懸命の武家集団が台頭してきて、一気に一般の人たちが歴史の中心に躍り出た時代だ。
武士や農民、職人、商人が時代の表に登場して来る。
仏教の世界にも新しい思想が生まれた。
法然、親鸞、日蓮、一遍といった新仏教の僧が、名も残らない人たちと行動を共にする。
仏像の表現方法も、平安時代の理想的でどちらかといえば女性的な造形から、人体をモデルにしたリアリズムが勃興した。
鎌倉の頼朝が奈良の仏師集団慶派を重用したせいもあって、力強い造形が数多く遺された。
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