2013/11/04

鎌倉時代の仁王像

腕

仁王像が僕のギャラリーに来た。

阿像、吽像の2体一対。
像高2m40cm、制作は推定1200年代、バリバリの鎌倉時代作です。
檜の一木割り剥ぎ造り(いちぼくわりはぎづくり)。
仏像を見るといつも思う。
「寄せ木」(よせぎ)と「一木」(いちぼく)では彫刻としての力が全然ちがう。
合板の箱物で作る家とムクの木で作る家との違いに似てる。

鎌倉時代は日本の歴史上、特別な時代と言ってもいい。
それ以前の文化を作ってきたのは、天皇、貴族を代表とする、いわゆる知識階級が担っていた。
関東地方に一所懸命の武家集団が台頭してきて、一気に一般の人たちが歴史の中心に躍り出た時代だ。
武士や農民、職人、商人が時代の表に登場して来る。
仏教の世界にも新しい思想が生まれた。
法然、親鸞、日蓮、一遍といった新仏教の僧が、名も残らない人たちと行動を共にする。
仏像の表現方法も、平安時代の理想的でどちらかといえば女性的な造形から、人体をモデルにしたリアリズムが勃興した。
鎌倉の頼朝が奈良の仏師集団慶派を重用したせいもあって、力強い造形が数多く遺された。

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2013/11/02

ライカA型

パリにいる間に蚤の市へ行った。

雑誌などでもよく目にする有名な「バンヴ」の市です。
早朝に行った方が掘り出し物がある、というので、現地には7:30分ごろに到着した。
それぞれの出店が商品を運び込んでは並べている。
どれくらいの数の店が出店してるのだろう、ちょっと見当もつかない。
道の両脇にズラリと商品が並んでる。100m以上の長さはあると思う。
すぐに1軒の店が目に止まった。商品を並べた棚の上に、古いライカのボディが置いてある。
手に取って見たら、ライカA型です。
これはライカが初めて量産したカメラです
レンズが沈胴式で、シリアルナンバーから推察すると、かれこれ7~80年前に製造されたカメラです。
エルマー50mm、F3.5のレンズが付いてる。

僕はそれほど中古カメラに詳しいわけではないが、日本でこのタイプを購入すれば多分、50mmのレンズが付いて状態さえよければ、15~20万円ぐらいはするだろう。
店の主人に値段を尋ねたら400ユーロだという。
1ユーロ150円で計算すると、60000円。このカメラの機能が壊れていなければ、この値段は安い。
レンズを繰り出して、シャッターを巻き上げる。ボタンを押すと「カシャッ」と、ライカ独特の音がする。裏蓋を開けて内側のチェック。まともだ。再びシャッターを巻き上げてボタンを押すと、シャッターが落ちてる手応えはあるのだが、視覚で確認出来ない。
うーんどうしよう?
購入するかどうか、財布に入ってる現金を確かめたら、40000円分しか持っていない。
もう買うしかない。
「すぐ戻って来るから、それまでこのカメラをkeepしておいてくれ」と店主に頼むと「30分だけなら待つ」という。

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2013/10/05

パリ滞在最後の日

chambre

ついに今日がパリ滞在最終日になってしまいました。
こちらに到着したのが7/6でしたから、ちょうど3ヶ月です。
パリ→ロンドン→パリ→ベルリン→ミュンヘン→パリ→キエフ→パリ→ロンドン→パリ
その間のスケジュールですが、当初はこれに加えて、オランダ、オーストリア、スイス、ベルギー、イタリアまで訪ねる気持ちでいたのです。
とんでもなかったです。
今回の日程ではこれが限度でした。

写真が生まれた場所へ行き、その空気を吸ってみる。
写真術誕生の事情を調べ、発明当初のオリジナルプリントや銀板を見る。
博物館、美術館、コレクターなどを訪ね、19世紀から20世紀にかけての初期写真を見る。
これらの目的は果たせました。
何しろ当地へ行かない限りは目にすることは出来ませんから。
成果はこれからゆっくり熟成して、答えを発表する機会を作ります。

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