多摩美術大学最終講義(9)「身体」
大学での講義も「光」「顔」と続いて、第3クールに入ると「身体」の話になります。
まず、学生全員に立ってもらい、普段歩いてる普通のスピードで真っ直ぐ歩かせます。
次に同じ場所から再び歩いてもらいます。前回よりゆっくりと。
「何か感じることがありますか?」
学生は何を質問されてるかわかりませんからシーンとしています。
次に、前回よりもさらにゆっくり歩いてもらいます。
超スローモーションですね。
ここで再び質問
「何か感じたことがありますか?」
学生はまだキョトンとしています。
私が超スローモーションで歩く動作を全員の前でやってみせます。
① 肩幅の広さで両足を揃えて立ちます。重心は左右の真ん中に。
② 第一歩を右足から出すためには、何をしなければならないか?
学生に問いかけます。
ここで、勘のいい学生は、私が何を伝えようとしたかわかります。
③ 第一歩の右足を前に出すには、重心を左足に写してからでないと動くことは出来ません。
つまり、前に進むための第一歩を出す前に、自由になることが必要なのです。
当たり前だと思われるかもしれませんが、ただ歩くだけでもよくよく観察すると、思わぬ発見があります。実際に自分でやってみるとよくわかります。
動く前に自由である重要性を感じ取っていただきたい。
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