「出現」と「時間」
今回開催する資生堂ギャラリーでの展覧会、メインテーマを「出現」に決めた。
(応挙が描いた孔雀絵は圧倒的です。凄い障壁画を前にして写真を撮る意味はあるのだろうか?圧倒的であるって、圧倒されたこの感覚を写真に定着出来ないだろうか?)
日本間における特徴の一つは、襖を開けると次の間に描かれている全く異なった世界が現れることだ。大乗寺の場合で言うと、源埼描くところの老梅の襖を引き開けた瞬間に芦雪が描いた猿が現れるのだ。当たり前と思うかもしれないが、今まで見えなかったものが眼前に出現するというのは、いつの場合も私にはショックだ。事前に何が現れるのか知っていればショックは小さいけど、知らなかったら尚更わくわくする。
一瞬で世界が変わるのも衝撃的だが、ゆっくりと少しずつ何かが変わっていくのも私にはたまらない快感だ。しかも、変わっていることに気づかなかったとしたら、まさに今生きているこの世の中的ではありませんか!そして、変化していることに偶然気がつき、気がついた自分を自覚した時は大袈裟でなく震えます。
いつの間にか心の中に浮かび上がってくる映像もこれと似ていて、これはこれで自分にとっての真実なのです。
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