プリクラヴァージン
先日、僕が大学で写真を教えている学生と飲み会をした。
午後は3年生の授業で、その日はライティングの最後の授業です。僕が学生をモデルに、スタジオのライトを使って実際に撮影をしました。授業が終わってから4年生でまだ課題を提出していなかった作品をチェックして、橋本にある飲み屋さんに向かいました。
今年の4年生は、3年生時に授業カリキュラムを変更せざるを得ませんでした。
昨年の震災の影響です。夏休みも日程が少なかった。なんだかんだで飲み会もほとんどできなかった。だから、久しぶりの集まりだったので楽しみにしていた。
毎年のことだけど、学生は可愛い。撮影の仕事でクタクタに疲れて、授業の準備をするのは本当にきついと思う日もあるけど、こうやって学生と身近に接すると、この仕事もいいなあと思う。
飲みながら話しているうちに、プリクラの話になった。
もちろん今まで若い女性たちと一緒にプリクラを撮った経験はなかったです。
そうしたら学生が「先生はプリクラヴァージンだ」というのです。「そうだね、今まで経験なし」と答えたら、これから先生の初体験をしよう、ってことになって、駅前のゲームセンターまで行きました。
「先生は目が細いから、しっかり目を見開いてくださいね」という。なんで、と聞いたら、今のプリクラは目を勝手に大きく変えてプリントするらしい。ところが、目が細い僕のような顔は、目と鼻を間違えて認識し、鼻の穴を大きくふくらましてしまうらしい。目と鼻を間違えられたらたまらない。この顔で鼻の穴ばかり、でかくされたらたまったもんじゃない。それで、撮影前に目を見開く練習をしてからボックスに入りました。
まず僕が一人中にいて、学生が一人ずつ順番に入っては撮りました。その度に目を思いっきり見開いていたのですが、タイミングが早いのです。早すぎる。
「先生、3枚まで撮れるので早く早く」
とか言われているうちに、目を見開く作業も忘れてしまい、悲惨な写真になりました。
その時は学生が15人ぐらいいたでしょうか、最後に全員で撮りたい、ってことになって、無理にぎゅうぎゅう詰めて入って撮ったのです。ラッシュアワーの電車状態ですね。
終わってから写真を見たら、「ああ、やっぱり」でした。
学生にはいい思い出になったろうか。僕にはとても楽しいひと時でした。
大学教授生活もあと1年と少しで終わりです。67歳の誕生日で定年です。
学生と別れてから、帰宅する道々、彼等が幸せな人生を送ることができるように、自然に願ってしまいました。
お母様の法事を済まされ、ホットして居られることでしょう。夏とは言え、この暑さには本当に参ります。庭一面覆われた雑草に、どこから手を付けたらいいのやら...紙面いっぱいの「ありがとうございます」には驚きました。純で飾りのないそれは、宣伝広告としか見ていない友達でさえ「いいね 素直に受け入れられる」と言っています。三周り以上も離れた学生さんとの楽しい交わりを、1年と少し、存分に満喫してください。3.11はもちろん、日本、世界はどう向かって行くのでしょう。やはり、若い学生さんたちの行く先々を、憂いているのですネ。仕事と体力の配分には無理をなさらぬように。お母様は「幸せでしたよ ありがとう」と言われてるに違いありません。ずうっとの課題、神殿を楽しみにしています。
メールのチェックを怠っていて、Tamuraさんの着信に気付きませんでした。今年の夏は残暑の厳しさがまた格別です。僕も庭の雑草の逞しさに呆然としています。水を撒いて戻ってくると、あちこちが蚊に刺されてボコボコになりますね。半夏生も昨年よりはマシですが、今ひとつでした。学生との交流もあと1年と少し。ホッとするような寂しいような気持ちです。