写真と珈琲のバラード(19)
わたしが気に入ってるカメラの一つ。Leica M4です。
写真家になってから最初に買ったカメラです。どうしてもライカが欲しくて欲しくて、大袈裟でなく食事を切り詰めて買いました。もう40年以上使っています。ボディの左右、ちょうどホールドするあたりを中心にしてカバーが剥げてしまいました。古いカメラなので、同じ材質を使って直すことが不可能だとのこと。見ようによっては痛々しいですが、いつの間にか変化したので、これはこれで自然のことだと思ってそのままにしています。撮影には何も影響ありません。
何処へ行こうが、何を撮ろうが、一つのカメラをずっと使い続ける人もいますが、わたしはその時の気分であらゆる種類のカメラを使い分けます。ですから、すべての撮影にライカを使用してるわけではないのに、外観はこのように傷んでしまいました。それだけ過酷な状況を経てきたのかなあ、とレンズを拭きながらジンとくるものがありました。
ボディは変わらずですが、レンズはいろいろです。大好きで、使う頻度が一等多いのは90mmのELMARIT 2.8です。このレンズも40年は使っています。最近は50mmのSUMMILUX 1.4が多い。写真家によっては「使うカメラは何だっていいんだ」と言う人もいるようですが、カメラ、レンズは信頼出来るものでないと私はダメです。写真は二度と撮り直せないし、自分の全ての時間を集約して現場にいますから、後悔はしたくありません。
最近は暗室に閉じこもっていることが多いので、気分転換を兼ねてカメラを磨こうとバッグから取り出したら、何とも言えない気持ちになりました。
カメラを変えるのって、気分、と思ってきたので、とても安心しました。アマチュアとプロの判断を、同一にするつもりはさらさらないのですが、でも、撮る行為=自分の時間を、見たことを記録するために使う、という一点だけは、共通かもしれませんね。最近は、一人旅が好きなのですが、相棒のカメラ、レンズを選ぶこと自体が、実は一人旅の目的そのもののように思えます。来週、遅い夏休みで、石垣島。伴侶に、Leica SLを買いそうな、まさに今でしたので、駄文をお送りいたしました。