三脚

三脚

8/4日、体調が良くないのだけど、昼過ぎにベッドから出て機材と持ってきたフィルムをチェック。
まだ撮影する気力が充実してこない。

今回は三脚に祟られてる。
空港で行方不明になったと思ったら、今度は中央支柱のエレベーションが動かない。
動きのテストをするため、伸ばし切ったら戻らなくなったのです。
何とも無様な形のままビクともしない。
見ようによっては、可愛いとも言える。
重量を考えて、ジッツォの小さい三脚にしたのですが、普段あまり使ってない機材を持って来るからこういうことになる。

三脚を使うなってことですか?
でも、今回パリで撮影するのは「夜の街」と決めてる。
三脚が無いと、考えてるような映像にならない。
三脚ぐらい買うなり、借りるなりすればいいじゃないか、と思うかもしれませんが、愛着ある道具というのは、そう簡単にチェンジ出来ない。それもあるし、何かアクシデントがあると、それをきっかけにして新しい展開を考える。いつもそう思ってきました。
今回は三脚かなあ。
そんなこともあって、三脚を部屋に置いて外に出た。


僕が借りたアパートは地図で見ると、パリの中央より左下。
ルーブル美術館がちょうどパリ市内のほぼ中央に位置していますから、ルーブルの南西の方角にあります。どちらかというと南のモンパルナスに近いです。
右左で言えば、もちろんセーヌ川の左岸です。
住所は6区のシェルシュミディ通りですが、場所はとてもいい。何がいいかというと、パリの中心まで歩こうと思えば歩いて行かれます。ルーブル美術館までは40分もあれば充分です。パリは地下鉄が充実してるから、何処へいくにも楽ですが、やはり、写真を撮る気なら歩かなければなりません。

シェルシュミディ通りを真っ直ぐ北東へ進むとサン・ジェルマン・デ・プレ教会に出ます。
そこからセーヌ川までは、ほんの10分の距離です。
サン・ジェルマン・デ・プレ教会の通りを挟んだ正面が有名なカフェ・ド・フロールです。
サルトルの書斎と言われたカフェですね。そのすぐ近くにカフェ・レ・ドゥー・マゴがあります。
この辺りに来たのは、30数年ぶりです。過去、撮影で何回もパリには来てるので、この辺も通ってるでしょうが、一人でカフェ・フロールに入ったのは35~6年ぶりです。


歩き始めたのだけど、やはり、体調が良くない。
しかし、今の時代は写真が難しいね。
フィルムの時代であれば、綺麗に撮るだけでも技術が必要だった。現代は誰でも写真が撮れる。しかも思ったように撮れる。
そんな時代に写真で何を撮るのだろうね。
カフェを出て教会に入り、グルっと裏手に回ったところで限界になった。咳が止まらない。

また来た道を戻る。
夏休みの日曜日とあって、街に人が少ない。
ゆっくり歩いてアパートに戻り、5階まで階段を上がる。
何の収穫もありません。
ドアを開けて最初に見えた光景がこの三脚でした。
何だか情けないような・・・・、笑っちゃいました。

 

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