2022/09/27

「ゆれる、まなざし/資生堂広告/1976年」

ゆれる、まなざし/資生堂広告/1976年

ギャラリー展示作品の内

「ゆれる、まなざし/資生堂広告/1976年」

資生堂秋のキャンペーンは、同社にとって最も重要な広告と言ってもいいだろう。化粧品各社とも秋のシーズンはメイキャップに力を注ぐからだ。

まず、その年のモデルを決めなければならない。

アートディレクターの鬼澤邦さん、コピーライターの小野田隆雄さんと一緒にモデルオーディションを行った結果、ある一人の女性に注目が集まった。真行寺君枝さんといい、当時まだ16歳だった。
オーディションの会場でも一人だけ縫いぐるみのリュックを背負い、物静かな雰囲気を纏っていた。彼女の視線は他の誰も持っていない強い魅力と深さがあった。
われわれグラフィックチームは真行寺君枝さんを推したが、資生堂宣伝部としての見解は、秋のキャンペーンモデルを彼女と決定するには若過ぎないか、だった。
今は幼さも感じる若さが目立っているが、撮影になれば年齢を超えた魅力を発する予感があった。

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2022/09/27

「河原井緑さん/雑誌写楽/1980年」

河原井緑さん/雑誌写楽/1980年

ギャラリー展示作品の内

「河原井緑さん/雑誌写楽/1980年」

「原宿でスカウトされたらしいよ」と編集者の小田豊二さんから紹介された時は、果物のようにみずみずしい18歳だなと思った。
かつての日本の女優さんが持っているノスタルジックな雰囲気を感じた。幼さと成熟が交互に現れるような、見方によっては同時に現れているような、私の半分近い年齢なのに、時折りしぐさの内に、母という女性が持つ慈愛の雰囲気さえ感じていた。

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2022/09/26

「四谷シモンさん/1972年」

四谷シモンさん/1972年
四谷シモンさん/1972年

ギャラリー展示作品の内

「四谷シモンさん/1972年」

状況劇場多彩な役者の中でも最高に妖艶で魅力的な女形から、人形作家として出発する四谷シモンさんを被写体に、10人の写真家が写真を撮ることになった。
私は前年に独立したばかりの駆け出し写真家だったが、幸いなことに末席に参加させていただいた。

状況劇場時代のシモンさんは本当に美しかった。
役者時代を超えて新しい魅力を引き出すのは、自分の力では難しいと頭を悩ませていた。そのため、シモンさんの肉体に過酷な条件を与えてみたらどう変化するのか見たいと思った。

「痛み」「苦しみ」「笑い」「哀しみ」の4つのアイデアを準備した。簡単に言えば拷問みたいなもの。例えどんな条件であろうと美しくありたいと願うシモンさんの美意識に賭けた。

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