2022/09/22

「近眼旅行/雑誌話の特集/1973年」

 

ギャラリー展示作品の内
「近眼旅行/雑誌話の特集/1973年」

私は眼が悪い。近眼である。普段は眼鏡をかけているので日常生活に支障はないが、眼鏡を外すと途端に視界に映るものの輪郭がぼやけ、認識が曖昧になる。

ある日、むしろハッキリ見えないことによって形態の抽象性が増し、かえってモノの存在する実感は強くなるのではないかと思った。
それに、輪郭がボケると視界に映る被写体の何に興味を持つのか、自分なりに確かめたかった。

そこで使用するレンズ(この場合ブラナー80mm)のフォーカス位置を、私の肉眼でピントが合う距離に合わせて固定し、旅に出た。

焦点が合わないまま無理に見ようとすると、しきりに動くものに興味がいくことに気がついた。

今回ギャラリーで展示するのはこの時撮影した作品の内、乗り物ばかり選んでプリントした。


2022/09/21

「スナップショット/1970〜71年」

 

ギャラリー展示作品の内
「スナップショット/1970~71年」

写真家になると決めた頃からスナップショットを撮り始めた。

独立することになったのは計画的ではなく、突然そうなったので、心も含め準備と言えるものは何もしてなかった。
生活の方法を考えるよりも先にやらなければならないことは、写真は一生かけて探求すべき価値あるものか自分なりに確かめたかった。
この頃は写真で何をしたいのかはっきりわからなかった。ただ、初めから報道写真の真実性を信じていなかったので、報道の道へ進む選択肢は捨てていた。
伝えたい主題が無い時、写真で何を表現するのか。
他の人と私を区別するものは何なのか、写真を撮ることで少しでも明確になればいいと思った。

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2022/09/11

「カジキマグロ/松下電器ストロボ雑誌広告/1973年」

カジキマグロ/松下電器ストロボ雑誌広告/1973年

1973年、松下電器携帯ストロボ雑誌広告シリーズの一つ。ダイバーがヒレに捕まったまま、カジキマグロが水中から飛び上がった瞬間を撮ろうと考えた。

撮影の手順にヒントがあります。
まず初めに画面左フレーム外の堤防から人がジャンプして飛び降りる。次に、先に飛び込んだ人の水しぶきが上がるタイミングに合わせて、カジキマグロを抱いたダイバーが飛び降りる。
カジキマグロが着水する寸前、まだ空中にある状態でストロボを閃光させるのだ。

水しぶきがあるために、カジキマグロとダイバーは水中から飛び上がったように錯覚する。
この頃は、錯覚、はっきり見えない、出会い頭、曖昧などにとても興味があった。それも完璧ではかえってつまらない。その興味は50年経た現在も続いてる。

後方に浮かぶ漁船は撮影の時偶然現れた。

AD・D東澤雅春、C松岡英輔


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