2013/12/01

多摩美術大学・十文字美信最終講義(2)

「豆腐、卵、角砂糖を使って、パッション(情熱)を写真で表現しなさい」

今年の僕の授業を履修した3年生に提出した最初の課題です。
副題として、(光の効果を駆使すること)です。

「情熱」の解釈に対する質問は一切受け付けません。
自分が考える、あるいは経験した「情熱」で構わない。

提案した3種のモチーフにどう関わっていくか、個人差があって大変興味深い。
整然と並べる者、グチャグチャに混ぜ合わせ

る者、卵を割る者、投げつける者、卵焼きにする者もいる。具体的な生活周辺のありふれたモノを使って、感情を表現するのは難しいがやってみると面白い。
たった3ヶ月のライティング経験とは思えないほど、見事な作品に仕上げる者もいる。
この場で見せられないのが惜しいくらいの出来の写真もあります。
これから1年間かけて身につけて欲しいものは、撮影する以前にまずイメージすることの大切さです。
光と影、奥行き、色彩を心の中で具体的に描くことが出来れば、現実にやってみることとのギャップも生きてきます。
自分で光を操る面白さを体験してもらいたいのです。

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2013/11/28

多摩美術大学・十文字美信最終講義(1)

2014年3月末日をもって、多摩美術大学教授の職を定年退職します。
2004年に着任しましたから、来年でちょうど丸10年になります。
月並みな言い方ですが、本当に月日が過ぎ去るのは速いです。

大学の職に着くのは、この時がまったく初めてでしたから、多摩美のキャンパスに期待と不安が入り混じった気持ちで行ったのが懐かしい。
着任初年度から優秀で熱心で可愛い学生たちに恵まれて、戸惑うこともなくスンナリ授業に入れました。

私の前任が脇リギヲ先生でしたから、授業の中心は暗室作業だったようで、当初学生たちは撮影の楽しさ面白さに気付いていないようでした。

それに最も難しいのは、多くの学生たちは写真家志望ではない、ということです。
グラフィックデザイン学科ですから、将来はグラフィックデザイナー、イラストレーター、ウェブのゲームソフトを作る、あるいはアニメーター、中にはTVCMの企画演出、などを希望する者が多く、写真家志望は年に3人もいないでしょう。と学科長から伝えられていました。

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2013/11/10

十文字美信・瀧本光國 二人展

十文字美信・瀧本光國 二人展

11/13(水)-11/25(月)まで、GALLERY Bで彫刻家瀧本光國さんと二人展を開催します。

写真と彫刻を同時に展示するのは、昨年に引き続き、今年が二度目の試みです。

ギャラリースペースを二つに分けて、それぞれの作品を別々に展示するのでは、二人展をやる意味がありません。
せっかくの試みですから、三次元立体である彫刻と二次元平面の写真が、鑑賞者の心の中で融合し、それぞれの作品の特徴が響き合っ

て、新しい世界が生まれるといいなぁ、と思っています。

今回展示する僕の作品は、最新作の「残欠」です。
解体し或いは損壊した仏像の断片や部分を詳細に撮影した作品です。
今年の9月にウクライナのキエフで展示した作品も数点あります。

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