火の儀式
人は「火」を見ると何を感じるのだろう。
各地に残る火の儀式を考えると、太陽を連想するのが自然の流れで、太陽は生命の源であり、また、破壊の象徴でもあろう。
太陽信仰、祖先崇拝、汚れを祓う浄化などの諸説あるけれど、私は写真家なので、それよりも体験からみちびきだされる個人的、具体的な感想の方が重要です。
私にとって最も大切なのは現場です。
現場から瞬間という時間概念を外して大きく見渡したのが大地でしょう。現場にしても大地にしてもとにかくその場に居なければ写真にならない。その場に居ることによって感じる一言で言えば「生々しさ」を美しく撮りたいのです。
「火」でもおなじこと。
熱さ、燃える音、時には怒号、焦げた臭い、儀式の場合であればクライマックスがある。しかし、クライマックスは一つ一つの場面にも存在し、どちらかというと外れたちょっとした瞬間に心打たれます。