「おや、撮らないのか」
二日続けて真木大堂へ行った。
前日は撮影しようとしたら突然サッと雨が降ってきた。濡れた白仏は暗くなってしまうので、乾燥するまで待たなければならない。
元々は山岳信仰の場所だった国東半島に、平安時代頃に天台宗が入り「六郷満山」文化が花開いたと言われている。中でも豊後高田の真木大堂は、都ぶりの木造阿弥陀如来坐像をはじめ不動明王像、巨大な大威徳明王像など九体の仏像が安置され、仏像好きにはたまらない場所だ。
旧本堂を横目に見て、歩道脇の石仏群から白仏を探す。
傾いた小さな石祠があり覗くと中に白仏がいらした。お顔には苔の一種だろうか、鮮やかな緑色と枯れ散った葉に覆われて消えた目鼻が一層隠れて見えない。
しばらく眺めていたら、「おや、撮らないのか」と言われた気がした。