写真と珈琲のバラード(11)
珈琲豆は産地と種類によって個性が違います。一粒の大きさもまちまちですし、形や厚みも異なります。美味しい珈琲を飲むためには、何と言っても焙煎が大事だ、と述べましたが、抽出次第だと思ってる人も多いようです。抽出ももちろん影響ありますが、注意することは、
1)熱湯で抽出しない。
2)湯をいっぺんに注ぎ過ぎない。
適切な焙煎をされていれば、このふたつを守るだけで充分美味しい珈琲になります。
豆の大きさはモカが小さく、パプアニューギニアやコロンビアのスプレモであれば比較的大きい。一粒の厚みも、ケニアに比べればブラジルははるかに薄い。実はブラジルの豆は焙煎に対しての許容範囲が広く、初心者を集めての焙煎講習会などでは、ブラジルの豆を使って実習などしている、と聞いたことがある。ところが、まあ、人によって違うでしょうから一概には言えませんが、私はブラジルの焙煎に最も手こずりました。焙煎をやり始めてそろそろ8年目になりますが、ブラジルの焙煎で納得するようになったのは最近です。ブラジルは他の豆と同じ焙煎では焦げてしまいますし、火力を弱めるとすぐに渋さが出ます。焙煎が楽なケニアなどと比べると、豆の厚みがないので、薄いことが原因か、あるいは質そのものに特徴があるのかもしれません。さあブラジルの豆を焼きなさい、ってことになったら初心者はさぞかし困るのではないかと思います。ブラジルはホント難しい。他の豆よりも比較的値段が安いので、失敗しても損害が小さく済むので、それで使われてるのかもしれませんが。
ブラジルのどこが難しいのか、と言いますと、スィートポイントが狭いことが原因です。酸味から苦味に移るスペースが狭いのです。珈琲は焦げると飲めないので、どちらかというと酸味寄りで止めざるを得ません。この間隔が難しい。焙煎者が理想の到達点を持って焙煎することが美味しい珈琲を作る絶対条件です。しかし、今まで他のカフェでブラジル珈琲を飲み、焙煎者の意図を感じたことは滅多にありません。安全地帯で焙煎を止めてるブラジル珈琲が多いのです。
ブラジルと言えば「銀ブラ」という言葉があります。意味は銀座をブラブラ散歩するのかと思っていたら、近年、「銀座カフェ パウリスタでブラジル珈琲を飲む」ことだ、と書いてあるのも目にします。私は専門家でないので真実はわかりませんが、その説明は少し違和感を感じます。銀座の内でも特定された店を指して言うなら、この場合「パウ ブラ」でしょう。「銀ブラ」なら銀座でブラジル珈琲を飲む、が自然です。はやはり銀座という街を愛した人が作り出した言葉であってほしいと望みます。