12月30日、23時〜24時
新しく「おわら 風の盆」の編集を始めました。
今日も(21日)これから本編集のために、麻布イマジカへ行きます。
編集している私の姿を主にしたドキュメントがテレビで放映されることになりました。
12/30日、23時から24時の1時間です。チャンネルはBS朝日です。年末の押し詰まった時期ですが、都合つく方はぜひ観てください。
現在キヤノンのホームページで観ることができる「おわら 風の盆」の作品は、18分28秒間の長さに編集したものです。
実際に撮影した素材は、編集に使ったもの以外にもたくさんあります。どのくらいあるのかというと、ただ観るだけでも、すべて観ようとしたら、のべ15時間以上かかってしまいます。そのくらい長時間撮影しました。ですから、編集から外れた映像の中にも、魅力的なカットがたくさん残っているのです。
今回は時間制限なく、私の個人的な思いだけでつないでみることにしました。特別編とでもいうのでしょうか、ディレクターズカットというべきか、編集作業をしている私自身を、また別の撮影スタッフが記録して、ひとつのドキュメント作品に仕上げようという試みです。何故そのようなことになったかというと、私が「一眼レフカメラの動画機能」に初めて着目したからです。
でもそれはまったくの偶然だったのです。
現在、われわれ撮影業界ではちょっとした革命が起こりつつあります。「デジタル一眼レフカメラの動画機能」を使ってTVCFまで作れることがわかったからです。作れるだけでなく、相当高いレベルの映像が撮れるのです。もしこれが、通常の仕事で使われることになったら、システム全体を変えざるを得ません。
以前にもブログに書きましたが、「感度」「ボケ」「機動性」「使用できるレンズの種類」「映像としてのクォリティー」そして「コスト」など、従来の制作進行がまったくと言っていいほど変わってしまいます。きっかけは、私が撮影した映像作品「さくら」にあったと思います。
「さくら」を撮影したカメラはキヤノンの「EOS 5D MARKII」でした。
本来スチール用に開発されたカメラですが、そのカメラにキヤノンさんの技術スタッフが動画機能を装備したのです。
「EOS 5D MARKII」が新発売されるタイミングに合わせてカタログを作らなければなりませんが、カタログに使う写真をキヤノンさんからお願いされ、その時、試しに動画機能を使ってちょっとした映像を撮ったのです。昨年(2008)の8月でした。被写体は大分県の畑に咲いていた彼岸花です。その日はちょうど細い雨が降っていて、真っ赤な彼岸花に音も無く霧雨が降り注ぎ、溜まった雨の雫の重さで、耐えきれず花びらが静かに動く様子が見事に撮影されていました。
撮った映像をカメラのモニターでチェックした時は、ちょっとした驚きでした。
湿度、背景の森のボケ、花びらの紅の色味、クローズアップしているにもかかわらずシャープな切れ味、彼岸花のたたずまいが見事に写し取られていました。
直感的に「これは、ひょっとするかも・・・」と思ったのです。
私が「スチール、動画」、両方の撮影経験者だったことが、幸いでした。
今までの経験から、光量が不足している彼岸花の映像を撮影したらどうなるかは予測がつくからです。その予測をはるかに上回って美しい動画映像が撮れたのです。
このことがきっかけでキヤノンさんから、「それなら、動画機能を使って作品を作ってください」とお願いされ、「さくら」が生まれました。
偶然ではありますが、「デジタル一眼レフカメラの動画機能」に着目した最初の作家として、ドキュメントされることになりました。
新しい何かが生まれるきっかけなんて、このような偶然からなんですね。
初めまして
写真家たちの日本紀行で拝見して存在を知り、ファンになり
「さくら」のブルーレイを運よく手に入れた石原と申します。
ついに十文字さんの作品がBSで放送されるんですね。
とてもうれしいです。
一目見てうちの父親もファンになり、「さくら」「風の盆」
を拝見し、2人でもっと長く十文字さんの感性を通して
伝統ある風物詩をいままでにあるようなありきたりな
NHKや既存の制作者の目を通したものではなく、
ダイレクトに見てみたいという気持ちが強かったからです。
まさにこれから、十文字さんの番組が見られるということで、
とてもわくわくしています。お体に気をつけてこれからも
がんばってください。どこかでレギュラーや単発での紀行物
特に京都編などあったならば、最高です。そういう偶然が
出てくるよう、ファンの一人として祈っている次第です。
連絡ありがとうございます。そう言っていただけると励みになります。12/30日に番組の中で放映される「風の盆」は、私が個人的に編集したものなので、現在、キヤノンのホームページで鑑賞できるものと少々趣が違います。番組の中でも語っていますが、目の前に展開される現実の光景と心の中の情景とが一体となるよう願いながら編集しました。
ぜひ、ご覧になって、よろしかったらまた感想をお知らせください。