完パケを納品
昨日(19日)で「おわら 風の盆」の編集が終了。
この1週間は収録した「おわら」を聞きまくり、撮影した映像を何度も見返した。
八尾の人たちの「おわら」を愛する気持ちに少しでも近づき、そのうえで、「おわら」を体験した僕の情感が反映された作品にしたかったのです。
撮影に臨む以前に考えていたことは、FIXの映像を主にした作品にしないこと。出来れば手持ちで移動しながら撮影できないかと思っていました。理由は、「おわら」の「町流し」のゆったりしたテンポについて歩きたかったからです。それに、人間の眼で見た映像に近い画像にしたかったのです。それなりの揺れは必要条件だと思っていました。ただし、極端な揺れ、ぶれは駄目です。撮影方法を探るために事前にテストを重ねました。ドーリーのレール移動、カメラカー、三輪自動車、電気自動車、乳母車、車いす、などは現場の条件に合わず却下。必然的に残された方法は、ステディカム、ジャイロ、それに、カメラ本体で機能するスタビライザーを活用した撮影のどれかになった。
ステディカムを使用するかどうかは最後まで迷いました。もし、ステディカムだとオペレーターも一緒に呼ばなければならないし、僕自身が撮影者であることにこだわりたいので結局採用しませんでした。結果、手持ち用のジャイロとスタビライザーを組み合わせた方法になりました。
今回の撮影は、すべてまったくのライブなので、編集された時に前後の映像のつながりが不自然にならないよう、常に撮影時のCUTのタイミングを気にしていました。具体的には、歌や踊りの切れ目をどこにもってきたらいいのか、異なった場所で同時に展開される「おわら」を一つにつなげていく最善の方法を考えながら撮影したのです。これは僕が監督でもあり撮影者でもあることの大きな利点です。
撮影時の考慮が、編集時で生かされ、謡の文句が違っていても、テンポを合わせることで、自然に流れていくことが出来たと思います。
暗い路地で進行する「おわら」の「町流し」を美しく撮影するためには、感度の問題でFILMやビデオでは無理があります。
お世辞でもなんでもなく、今回使用したカメラ、「キヤノンEOS7D」がなければ、思ったような映像は撮れなかったでしょう。感度6400に上げて設定した映像とは思えないほど、安定した画像でした。荒れもなく、色調も正確に表現されていました。こんなこと書いたらキヤノンが喜ぶだろうけど、本当のことです。感度だけでなく、あの混雑した人ごみの中では、大きさも重さも共に、デジタル1眼レフのような小さな機材でなければフットワークよく動き回ることはできません。もともと動画用に設計されたカメラ機器ではありませんから、動画を撮るにはまだまだ使い難いところは幾つかあります。しかし、未来の映像制作を想像した時に、たくさんの可能性を秘めていると感じました。
完パケを納品した今は、なんだか虚脱状態に近い感覚です。
いろいろな意味で、これほど集中しなければならなかった撮影も珍しい。
最終的に、18分27秒の作品に仕上がりました。
「おわら 風の盆」は、10/2日から、キヤノンのホームページで見ることが出来ると聞いてます。
ぜひ、「おわら」の繊細な情感を味わってください。
御久し振りです
初対面は「おたや階段」、偶然の再会は「一力」、そして諏訪町公民館前の深夜の握手の白髯の男です。
おわらの映像をアップされるのを楽しみにしておりました。
感度設定6400という夜間のシーンには、あの時の記憶を新たにしました。
そして井田川対岸からの夕日の石垣の町並みとタイトルバックの瓦屋根の風景とにも感激致しました。
突然失礼しました。
撮影の現場でたびたびお会いしていながら、名も名乗らずに失礼しました。不思議なご縁を感じました。またきっとどこかでお目にかかれることを楽しみにしています。