写真展のプリント(2)
新しいベルゲールがどうして気に入らないかというと、古いベルゲールのペーパーをストックしていたので、同じ現像液でプリントし、比較したのです。
結果を簡単にいうと、新しいベルゲールは黒の色味が薄く暗部のグラデーションの再現性に品格が感じられません。黒の色調に厚みがないのです。
現像液を変えれば、また違う結果がでるかもしれません。
このへんは、好みの問題でもあるので、良いか悪いかではありません。まったく個人的な次元で話しています。
僕が持っている古いベルゲールは、好みに合っているのですが、サイズが小さくて今回の写真展には使えないため、新しい印画紙を探すことになったのです。
まず、印画紙を決める前に、やることがあります。
どうせ紙を変えるなら、この際、現像液もテストしてみようと思い、アンスコの処方箋に従って現像液を作ってみました。
どうしてアンスコにしたかというと、コダックの印画紙を使う事はないので、D-72系の現像液は最初から頭にありませんでした。
テストした現像液は以下の5種類です。
アンスコ、A–115
アンスコ、A–120
アンスコ、A–125
アンスコ、A–130
アンスコ、A–135
このうち、A−120は軟調現像液、A−115とA−135は温調現像液、A−130は純黒調現像液、A−125は標準的な現像液といわれています。
このなかでもよく使われているのは、A−130ではないでしょうか。
A−130の処方箋を記します。
水(約50度C) 750ml メトール 2.2g 無水亜硫酸ナトリウム 50g ハイドロキノン 11g 炭酸ナトリウム1水塩 78g 臭化カリウム 5.5g グリシン 11g 水を加えて総量 1000ml
使用液は原液に対して、1:1でも1:2に希釈しても使えます。
希釈の度合いでコントラストを変えることが出来ます。
ただし、軟調とか硬調とか純黒調とかいうのは、あくまでも主体的な解釈ですから、自分で試してみる必要があります。
印画紙は古いタイプのベルゲールを使ってプリントしました。
結果、僕はA−135が好みでした。
ちなみに、処方箋の内容について、薬品の種類はA−130とまったく同じで、分量比率に差があります。
ただし、一つだけ異なっているのは、A−135にはグリシンが入っていません。
そこで、A−135にグリシンを突っ込んでみたのです。
なかなかいい調子に表現できました。
一応、現像液は、A−135+グリシン、でやることにして、次に印画紙を決めなければなりません。
レンブラント
オリエンタル
ケントメア
イルフォード
アリスタ
フォーマ
アルゲントーン
フォルテ
ベルゲール
それぞれ、日本、イギリス、チェコ、ハンガリー、フランスで作られた印画紙です。
今回はこの中からレンブラント、イルフォード、フォーマ、アルゲントーン、ベルゲールを試しました。
現像液と印画紙の組み合わせは、それぞれ趣が違い、なかなか興味深いものがありました。
時間が許される限り試作を繰り返し、結局、アルゲントーン(ハンガリー)に決めました。
決めては、やはり、暗部の調子の再現性です。
作品「FACES」のモノクロ写真をこの現像液と印画紙の組み合わせで焼きました。
どんなモノクロプリントになったのか興味がある方は、ぜひ9/18日の写真展に来てください。