十文字 美信
写真家・多摩美術大学教授

十文字美信

1947年横浜生まれ。20歳のとき職場で「暗室」の文字を見て、写真家になろうと決意。以来40年あまり、独自の作品を発表し続けている。

1971年に独立。デビュー作「untitled」(首なし)がニューヨーク近代美術館で開催された「New Japanese Photography」展(1974)に招待される。独立の翌年、資生堂と松下電器から同時に撮影依頼があり、広告写真及びコマーシャル・フィルムの撮影や演出にも関わるようになり、現在に至っている。


70年代は、身近な人間や自らの夢をモチーフにした作品が多い。眼鏡を外して裸眼で撮影した「近眼旅行」、自殺者が最後に見る風景をテーマにした「グッドバイ」などもこの時代の作品である。

80年代になると、対象が「人間」から「日本人」へと移行。ハワイの日系一世たちを撮影した代表作「蘭の舟」を制作する。同名の写真集『蘭の舟』(1981)で伊奈信男賞を受賞。

インドシナ半島北部山岳地帯に住み、犬祖神話をもつヤオ族を、写真と文章でドキュメントした『澄み透った闇』(1987)は、写真というジャンルにはおさまりきらない十文字独自の世界である。

80年代の後半から90年代にかけては、日本の文化や日本人の美意識に興味を移行させる。
尾形光琳の「扇面貼交手箱」の撮影をきっかけに日本の黄金美術に興味を持ち、作品集『黄金 風天人』(1990)を上梓して、土門拳賞を受賞。日本の伝統建築や庭園の撮影も精力的に行い、『日本名建築写真選集19 桂離宮』(1993)を制作。『ポケットに仏像№1』(1993)をはじめとする3D写真による写真集も制作した。

2000年に入ると、黄金文化の対極にある日本人の美意識「わび」に着目。日本の自然、茶道、そしてそれらが連綿とつながって現代の「わび」に行き着いていることを視覚的に表現した作品集『わび』(2002)を上梓する。わびを敷衍した「おもかげ」「ふたたび翳」「風のごとく」などの作品も発表。


近著は、70年代の未発表作品から最近の作品までをまとめた作品集『感性のバケモノになりたい』(2007)である。この作品集を含めたこれまでの写真活動で日本写真協会作家賞を受賞する。

2009年にはキヤノンデジタルカメラの動画機能を駆使した作品「さくら」と「おわら風の盆」を発表。デジタル一眼レフカメラ動画機能映像の先駆者となる。
2009年9月、新作「FACES」を発表。
[年表]  

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