おもかげは

具体的なテーマがあるわけでなく、強いて言えば心の奥底に沈んでいるぼんやりした記憶がきっかけなのかもしれない。

おもかげは人だけに限って残されているのではなく、街角や風景や岩にだって漂ってくる。懐かしさの中には華やかな匂いもあれば、哀しみとともに後ろ姿をぼんやり見せて消えるものもある。
立ち止まって耳を澄ませていると、忘れよう忘れようとしていた記憶までもこちらに向かってくるようだ。
失いそうになる気持ちの支えが、写真を撮ることで再び力が蘇る。私が写真を撮る理由は言葉で言えない何かを信じているからだと思う。

写真は信仰に近いのかなあ、と常々私は考えている。


 

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