城崎温泉寺秘仏本尊十一面観音立像
城崎温泉寺秘仏本尊十一面観音立像。
三十三年に一度のご開帳です。
桧の一木造りですが、伝承が大変興味深い。
一本の桧の根元から順に、奈良長谷の十一面観音像、鎌倉長谷の十一面観音像と彫り進み、最後に残った先端部故に、木の先、つまり城崎(きのさき)の名前の由来となったという。
仏師稽文は奈良で病にかかり、この十一面観音像は未完のまま川に流され、流れ着く先々で疾病が流行した。祟りだと捨てられ、拾われては疾病が流行りまた捨てられた。城崎温泉の地で病を治した仏師稽文は、流れ着いてただよっている観音像に偶然巡り合った。救い上げてみるとなんと、自ら彫ったこの観音像だったという。
鉈彫りの彫り跡もそのまま、なんとも魅力溢れる観音像だ。