かぶれ
朝、8:30分、鎌倉にある皮膚科医院に行きました。
僕の弱点の一つは、皮膚が弱いことです。
虫に刺されるとすぐに膿んでしまうし、寒暖の差が激しいと身体の繊細な部分にジンマシンが出たりします。
今回は漆です。漆にかぶれました。
「Cafe bee」で使用しているカップは、陶芸家の枡たかさんにお願いして特別に焼いていただいたものです。
僕の珈琲に対する考え方の基本は、なぜ珈琲が飲みたくなるかというと、「ホッとしたいからだ」というのがあります。ですから、「口当たりのやわらかさ」というのは基本中
の基本です。そのために焙煎を工夫しているのですが、珈琲豆の焙煎だけでなく、カップもとても大事な要因です。せっかくやわらかい口当たりを実現させた焙煎であったとしても、冷たい印象のカップを使っては台無しです。
その点、枡さんのカップはやわらかい印象を与えてくれます。ただし、磁器のようには硬く焼き締めていない分、強度の点で多少もろいところがあります。
「Cafe bee」が開店してから3年過ぎました。毎日大変な頻度で使用していますから、いくつかのカップは欠けてきています。その欠けた部分に「金継ぎ」を施しました。3日前のことです。
当然ながら材料は「本漆」を使いました。
「金継ぎ」をするにあたって、確実にかぶれる自信がありました。
こんな自信はあっても何にもなりませんが、予感ではなく、かぶれることはわかっていました。
僕は以前、サントリー「天然水」の広告を撮影していました。撮影現場は毎回、山梨県の甲斐駒ケ岳の麓でロケするのですが、漆にかぶれたことが何回かありました。漆の樹液が皮膚に付着してかぶれるのではないのです。ただ漆の樹木の近くを通っただけで、両腕の内側がかぶれて爛れてしまいます。多分、漆は揮発性があるので、呼吸から成分が体内に入り込み、アレルギーが発生するのでしょう。まったく困った体質です。
ですから、今回の「金継ぎ」も、漆を練って「錆び漆」を作る段階で、「ああ、かぶれるな」とわかっていました。
ものすごく痒いです。
手首の内側から肘の内側まで、ブツブツ炎症が起きています。以前かぶれた時に、このまま放って置いたらどうなるだろう、と思って医者にも行かず我慢していたら、紅く炎症を起こしていた箇所が水ぶくれに変わり、ついには皮膚が破れ、無惨な状態になったことがありました。
今回は、「金継ぎ」作業から2日目に痒くなってきたので、すぐに医者へ行きました。
飲み薬と塗り薬を処方されました。
まだ痒みはとれませんが、明日はだいぶ楽になると思います。
2週間後には、継いだ箇所を磨かなくてはなりません。それからさらに日にちをおき、金粉を施すために再度漆をかけなければなりません。
漆にかぶれない良い方法はないのだろうか?