2012/03/31

昨日の対談

昨日、スタイリストの高橋靖子さんに誘われて、表参道の本屋さん「山陽堂」の二階で対談を行った。靖子さん、通称ヤッコさんの著書『表参道のヤッコさん』が、河出書房新社より文庫化されるにあたって何か一緒に話を、ということでした。ヤッコさんというと、スタイリストの草分け、とか伝説のスタイリストなどと言われているらしいけど、僕にとっては現役バリバリのスタイリストです。文庫に記されてる履歴をあらためて見ると、70歳を超えていらっしゃる。まずは彼女の若さとバイタリティーに脱帽です。対談に誘われたのは嬉しいのですけど、今まで僕は表参道にあまり深く関わってこなかったので、お役に立てるかどうか心配でした。

ヤッコさんと最初に会ったのは、僕が写真家として独立したその年です。1971年に雑誌『anan』で、世界的に著名な服飾デザイナー、ザンドラ・ローズのページを組むことになり、その撮影のスタジオでした。もう今から40年以上も前ですから、僕の記憶も曖昧です。ザンドラ・ローズはヤッコさんが旧知のデザイナーでしたから、新人も新人、まだ写真家として3ヶ月しか経っていない僕のために、少しでも楽な気持ちで撮影を、ということだったのでしょう。『anan』編集者、椎根和さんの深い計らいですね。

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2012/03/19

暗闇

このところ仕事の撮影依頼が多く、幸いにしてコーヒーの焙煎回数も増えてきているので、PCに向き合う時間がほとんどない状況が続いています。

せっかくここまで続けてきたのでなんとか書き込みたいと思っています。

撮影が多くなったのは、やはり昨年の震災の影響でしょう。昨年は先行きの見通しが立たなかったので仕事もなるべく控え、静観していたのが、3月の年度末でそうもいってられない、というのが現状だと思います

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2012/02/28

顔から始まって

昨日(2/25)、多摩美術大学生涯学習センターで90分の講演を行った。朝から冷たい雨が降り続き、悪天候にも関わらず多くの方が来てくださった。

今回の話のテーマは「顔とデザイン」でした。講演の準備をしながら、う〜ん、どうしよう、と考えていました。僕は写真家なので、日常的に顔を撮影する機会は多いのですが、顔を撮る時にデザインを意識しているかというと、そんなことはありません。むしろ、デザイン的な要素を排除する意識が働いていると言えます。今まで撮影した顔の作品を見ながら、デザインとどうやって結びつけようかと考えましたが、ちょっと難しいので、結局、顔の話だけをすることにしました。

僕のデビュー作は「untitled」で、この作品は全身のポートレートです。画面の上下に全身が入るよう構図を決めてから、さらにフレームを下へズラし、首から上をフレームの外へ押し出した写真です。発表した時にどなたかが「首なし」と名付けてくれたので、以後、通称「首なし」になってしまいましたが、作者である僕の感想では「顔なし」の方が近い気がします。フレームを下へズラした分だけ被写体が立っている地面が多く写っています。顔が無いことで、個人ではなく誰でもない人になってしまいました。ただ顔が切れただけでなく、足下の地面が不自然に多いことでなんとなく不安感を増しているように思います。この「なんとなく不安」というのを写してみたかったのです。写真は目の前にある見えるものを写す事が原則です。見えないもの、例えば「イメージ」とか「記憶」とか「想像」とか「空気」とか「時間」とか。「不安」もそうですね。そういう見えないものをどうするのだろう、見えないものをどう写真に写すのだろう、ということが僕の写真の出発でした。当時、目に見えない「不安」を写真にしようと試みた写真家は、あまりいなかったように思います。

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