ライカA型

パリにいる間に蚤の市へ行った。

雑誌などでもよく目にする有名な「バンヴ」の市です。
早朝に行った方が掘り出し物がある、というので、現地には7:30分ごろに到着した。
それぞれの出店が商品を運び込んでは並べている。
どれくらいの数の店が出店してるのだろう、ちょっと見当もつかない。
道の両脇にズラリと商品が並んでる。100m以上の長さはあると思う。
すぐに1軒の店が目に止まった。商品を並べた棚の上に、古いライカのボディが置いてある。
手に取って見たら、ライカA型です。
これはライカが初めて量産したカメラです
レンズが沈胴式で、シリアルナンバーから推察すると、かれこれ7~80年前に製造されたカメラです。
エルマー50mm、F3.5のレンズが付いてる。

僕はそれほど中古カメラに詳しいわけではないが、日本でこのタイプを購入すれば多分、50mmのレンズが付いて状態さえよければ、15~20万円ぐらいはするだろう。
店の主人に値段を尋ねたら400ユーロだという。
1ユーロ150円で計算すると、60000円。このカメラの機能が壊れていなければ、この値段は安い。
レンズを繰り出して、シャッターを巻き上げる。ボタンを押すと「カシャッ」と、ライカ独特の音がする。裏蓋を開けて内側のチェック。まともだ。再びシャッターを巻き上げてボタンを押すと、シャッターが落ちてる手応えはあるのだが、視覚で確認出来ない。
うーんどうしよう?
購入するかどうか、財布に入ってる現金を確かめたら、40000円分しか持っていない。
もう買うしかない。
「すぐ戻って来るから、それまでこのカメラをkeepしておいてくれ」と店主に頼むと「30分だけなら待つ」という。


急いで近くのキャッシュコーナーへ走った。
必要な現金を下ろして戻ると、新たな客が3人いて他のカメラを見ている。
僕が見つけたライカは、別の場所に置いてある。
もうこの時、気分は僕のライカになっている。
もう一度手に取ってシャッターを切ると、「買っちゃえ、買っちゃえ」と聞こえるのだ。
「350ユーロにプライスダウンしてほしい」と頼んだら、僕の手からライカを取り上げて「ノー」と一言。
現金を下ろしに行ってる時点で買う気満々だから、僕の負けです。
ただし、このライカ、写真が写るなら安い買い物だけど、機能的に壊れてるなら、ただの置物。
所詮、骨董なんてそんなものです。
結局、買いました。
買ってしまったのです。

帰国してからは、さまざまな仕事に忙殺されて、ライカに手が回らなかったのですが、数日前、件のライカで写真を撮ってみました。
どうせ写ってないだろう、と諦めていたのですが、正直、微かな望みも持っていました。
撮影済みのフィルムを現像に出して、上がったのを見ると、うわうわ、写ってるではありませんか!

「写ってる」っていうだけで嬉しいもんです。

80年前のカメラですから、僕より先輩です。
露出、フォーカス、巻き上げ、あらゆる機能はもちろんアナログです。
久しぶりに「写ってる」ってだけで感動しました。

 

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