若杉聖子作陶展「朧朧」始まる。

A5/15日~5/27日まで。火曜日休み。

若杉聖子さんの作品を初めて直接拝見したのは、写真家の渞忠之さんが持参された花器でした。
昨年の10月でしたから最近のことです。
その後、若杉さんが目白のギャラリーで展示発表した時も、見に行きました。
小さな空間に、清楚な純白の花が開いたような静かな展示でした。
器を手にとってみると、白磁の表面に砂を使って擦ったような柔らかな手触りがしました。

釉薬の光沢は一切なく、素焼きの石膏像に近い優しい感触です。
見つめているうちに、清楚なだけでなく、どこからともなくざわざわした胸騒ぎのような感覚が湧き起ってきました。
その感触はむしろ、磁器や陶器よりも生温かい、女の人肌に近い感覚です。
そう感じると、それまで清楚に感じられた作品がむしろ生々しく、妖艶でセクシーにも見えてきました。


展示された作品の中から、煎茶に使える小さな碗と口縁の形が面白い花器を購入しました。

帰宅して持ち帰った器を眺めているうちに、写真に撮ってみたくなりました。気に入ったものに出会うと、レンズを媒介にして精細に見つめたくなるのです。

作品それぞれの「形」は、どちらかというと、雑器から離れようとしているみたいに感じられます。蓮の花びらを思わせるように薄く重なり合い、表面はマットな手触りです。白さの中にも微かな体温を感じさせます。

いくら正確であっても、「形」をとらえただけでは若杉さんの作品に近づけません。
清楚に感じる白さの陰にある、生々しく熱いものに触れてみたい。清らかさに分け入って行くような感覚が必要です。
ピントがくる箇所は、ほんの一部だけ。あとはボケているからこそ妖しく柔らかなものに。清純と妖艶の両方が存在しているアングルは何処?光はあくまでも方向性があり、そしてやわらかく。白さが際立つ明部よりも、複雑な暗部が重要です。撮っている途中で僕を裏切る奔放さも表現したい。
だんだん見えてきたのは、清楚よりも、もっと自由で、知らず知らず誘われてしまう静かで深い魅力です。誘惑されたい気持ちです。


どんなものであれ、いい作品に共通しているものは、接しているうちに、自身の体内に新しいパワーが生まれて来るように感じられるものです。

皆様もぜひ、若杉さんの作品を目のあたりにして、複雑で一筋縄ではいかない不思議な魅力を体感してください。

 

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